一括貸しとは、二階建て以上の複合ビル物件などにおいて、すべてのフロアを一つの飲食業者にまとめて貸し出す営業形態のことを言います。
床面積に比較して客席数を多めに確保することができるため、限られたスペースでより多くの売上を上げる効率的なシステムです。

一括貸しのようなユニークな形態は、東京や大阪、名古屋、福岡などの大都市の都心部のスペースが限られた立地に多く見られます。
立地スペースは限定されていても、複数フロアで運営することで客席数を多めに設定できる点が特徴です。
一括貸しシステムはさまざまな業態が活用していて、例えば、和食店や焼鳥屋、天ぷら店、レストラン、カフェやワインバーなど、幅広く展開されています。

一括貸しのメリット

フロアが分かれていることを生かして、それぞれのフロアで独立したサービスを提供できる点がメリットです。
例えば、一括貸しを利用する天ぷら店の営業の場合で考えてみましょう。
個室をメインとした天ぷら会席を提供するフロア、カウンターを中心としてじっくり天ぷらを味わうためのフロア、テーブル席を中心にファミリー向けにカジュアルな天丼を楽しむためのフロアなど、ターゲットに合わせて効果的な営業スタイルを導入することができます。

一括貸しのデメリット

一括貸しによる飲食店の経営の際に気を付けたいこともあります。
フロアが分かれていることによって、厨房設備を分散すべきなのか、それぞれのフロアに設置すべきなのかを決めなければならないことです。
建物の構造をしっかり把握した上で、スタッフや利用者の動線を考えて、レイアウトを考えていく必要があります。

一括借り上げとの違い

「一括貸し」とよく似た言葉に「一括借り上げ」があります。
混同しがちですが、意味は違うので気を付けましょう。
一括借り上げは、オーナーが所有する土地や建物を、不動産管理会社が借り上げて入居者に貸し出すこと（サブリース）を意味します。

一括貸しは希少物件として高額買取される可能性も

一括貸しを利用してユニークな運営を行っていた店舗を閉店する際には、あえて居抜き物件として売却をすることも検討しましょう。
一括貸しの物件は、希少物件として高額で買取ってもらえる可能性があります。