知らないでは済まされない?!飲食店を閉店するために必要な手続きと準備の仕方とは
経営していた飲食店を閉店すると決めた場合、閉店の手続きが必要になります。しかし、初めての場合、何をどう進めていいのか分からないという方も多いです。
そこで、今回は飲食店の閉店手続きについて、準備や方法などのポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。
閉店時に必要な手続きとは?
まずは、閉店をする際に必要な不動産・金融機関関係の事務手続きについて見ていきましょう。閉店を決めたら早めにやっておいたほうがいい手続きです。
後回しにしておろそかにしていると、いざ退去となった際にトラブルに巻き込まれる可能性があります。
しっかりと精算を行って、気持ちよく閉店の日を迎えられるようにしましょう。
借入金がある場合は必ず金融機関へ報告
飲食店の経営を行う際、金融機関で融資を受けることはそれほど珍しいことではありません。その返済期間中に閉店してしまった場合は、閉店後も月々の支払いを続けることになります。
この場合、黙って支払いを続けるのではなく、必ず金融機関の窓口へ行って閉店した旨を報告しなくてはなりません。
金融機関としては、お金を貸し出した融資の対象がなくなってしまうので、追加融資や返済期限などが変わってくるわけです。だからといって残額を一括返済しなくてはならないわけではありません。
月々の支払いを怠らず完済すれば、次のお店を開店した時、融資を申し込みやすくなります。逆に何も言わずに融資対象をなくしてしまっていた場合は、返済が滞ると信頼もなくなってしまいます。
自分たちのお店の評価を高くしておくためにも、報告は忘れないようにしましょう。
リース契約がある場合はリースの清算を行う
お店を閉店する場合、リースは清算しなくてはなりません。リースとレンタルは根本的に違うものなので、勘違いしないようにしなくてはなりません。
レンタルは、指定した期間に使用料を払って借り、いらなくなれば返還します。
リースは、新品で購入してもらった希望の機器を分割払いで購入するようなものです。そのため、閉店時に思っていた以上にリースの残債が残っていたというケースは珍しくありません。
リース契約の残債が多く、一括で清算することが不可能な場合はリース会社へ相談してみましょう。リース物品の所有権はリース会社にありますので、売買することはできません。残していくこともできないので、必ずリースの返却手続きは行ってください。
書面による解約通知を行う
借りた物件を返す場合は、通常の引っ越しと同様に書面による解約通知が必要です。通常の賃貸契約では、1か月前に告知する場合が多いのですが、飲食店舗物件の場合は3か月~8か月前となっています。
この期間内はたとえ閉店していても、お店を続けていても、家賃を払い続けなければいけません。
スケルトンにして退出の予定ならば問題ありませんが、居抜きで引き継ぎたい場合は手続きが変わってきます。
解約予告期間の最中に引き継ぎが行えないと、店舗資産が売れなくなる可能性もありますし、原状回復工事を行わないといけなくなる可能性も大いにあります。
金銭的に厳しい状況に追い込まれますから、次の借主さんや大家さん、管理会社さんとの連絡は密に取り合うようにしましょう。
廃業届は3つの行政機関へ届けなくてはならない
ここからは、閉店する際に届け出なくてはならない「廃業届」についてです。開業した際にも、行政各所に開業届を出したと思いますが、閉店する際にも同じような手続きが必要になります。
ここは、廃業にまつわる書類を、届け先ごとに分類して解説していきます。書類の不備があると返却されることもありますので、早めの手配がおすすめです。
【保健所に提出】
・廃業届、飲食店営業許可書を返納
飲食店や喫茶店を開業する時、食品関係の営業許可を保健所に申請します。この時に取得しているのが、〈営業許可書〉です。
営業許可書は、法許可業種または条例許可業種に分かれていますが、どちらの場合でも手続きは同じです。閉店の際は、保健所が指定する廃業届に必要事項を記載します。それに営業許可書を添付し、提出します。
窓口に行っての提出が一般的で、郵送や電子申請で手続きできる地域もあります。
廃業届には、営業を廃止した日から10日以内という提出期限があります。もし営業許可書の原本を紛失してしまったら、証明書を再度発行しなければなりません。
役所の手続きは時間がかかることが多いので、気になる点があったら書類作成の前に問い合わせ、確認しておきましょう。
【警察署に提出】
・深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書
「酒類提供飲食店営業開始届出書」は、深夜0時以降に酒類を売っている居酒屋やバーが警察署に提出している書類です。スナックなど、風俗営業許可をとって営業している場合も届け出が必要です。許可証の「返納理由書」も提出しましょう。
両方とも、廃業時に「廃止届出書」を提出してください。事業を廃止した理由や、許可証の返納理由を具体的に書きましょう。提出先は、警視庁(各地域の警察署)です。
これらの書類の提出期限は、営業を廃止した日から10日以内の届け出が必要です。廃止届や許可証の返納手続きが遅れると、30万円以下の罰金が科される可能性があります。提出を忘れないように注意しましょう。
【消防署に提出】
・防火管理者選任(解任)届出書
開店時、消防署には「防火管理者選任届」と「防火対象設備使用開始届」を提出しています。そのため、閉店する場合は「防火管理者解任届」を出す必要があります。
提出の期日は特に指定されていませんが、閉店日が解任日となるため、早めに提出しましょう。
各地域の消防署のホームページで書類を入手しておきましょう。開店時に提出していた「防火対象設備使用開始届」については、廃業に伴う手続きは必要ありません。
【税務署に提出】
・廃業等届出書
・給与支払事務所等廃止届出書
飲食店を閉店する際、税務署には最大4種類の書類を提出しなくてはなりません。
まずは、「個人事業の廃業届出書」です。これは、閉店の後移転などをせず、個人事業主としての収入がなくなる人に必要な書類です。
また、従業員を雇用していた場合は「給与支払い事務所等の廃止の届出」を提出しなくてはなりません。
所得税の青色申告をした人は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出します。消費税の課税事業者の場合は「事業廃止届出書」も併せて提出する必要があります。
開業届出と廃業届出は同じフォーマットでできています。開業届出の控えを参考にして書くと便利ですよ。
記入後は自分の控え用にコピーをとっておくようにします。個人番号(マイナンバー)の記載がある書類を他人に見せる際には、個人番号がわからないように塗りつぶすなどして対策しましょう。
税務署の窓口での記入では間違いがあればそこで書き直せますが、書類を郵送して手続きする場合、手続きに不備があると何度も書き直して送らなくてはなりません。
何度か確認して送ったり、税務署に電話をして相談するなどして、ミスの内容に書類を作成しましょう。
【日本年金機構に提出】
・健康保険
・厚生年金保険適用事業所全喪届
・雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)
従業員を雇用し、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などに加入していた場合、日本年金機構(年金事務所)に書類の届け出が必要です。
提出期日は閉店から5日以内となっていますので、保険の加入状況を事前に把握しておく必要があります。
健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届は、日本年金機構のホームページから入手できます。
【公共職業安定所に提出】
・雇用保険適用事業所廃止届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・雇用保険被保険者離職証明書
雇用保険に加入していた場合「雇用保険適用事業所廃止届」「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」を、公共職業安定所に提出します。
提出期限は、廃業の翌日から10日以内です。
雇用保険被保険者離職証明書は複写式の専用用紙なので、公共職業安定所の窓口で取得するか、ホームページから用紙のデータをダウンロードする必要があります。
【労働基準監督署に提出】
・労働保険確定保険料申告書
従業員を雇用し、労働保険に加入している場合は、労働保険確定保険料申告書を提出します。提出先は労働基準監督署、もしくは都道府県労働局か日本銀行のいずれかとなります。
提出期限は閉店日から50日以内なので、ほかに比べて猶予がありますが、忘れないようにしましょう。
申告書は送付されるため、自分で取りに行く必要はありません。
まだまだある! 各所に連絡をするのも忘れずに
続いて取り上げるのが、いわゆる「関係各所」への連絡です。ガスや水道など、通常の家の引っ越しをする際に連絡するところはもちろん、レンタル品の返却や、今までお世話になった仕入れ業者への連絡も行っておきましょう。ここまで済ませて、ようやくひととおりの閉店の手続きが終了です。
インターネットや、フリーWi-Fiを使用していた場合は、その業者にも忘れずに連絡を入れておきましょう。
公共機関(電気・ガス・水道)へ連絡する
公共機関(電気・ガス・水道)へは、一般的な引っ越し同様、前もって解約日を電話で申請しておきましょう。
ガスなどは立ち合いが必要になる場合もありますので、移転の日や閉店の日の予定を見て、日程を決める必要があります。
他の手続きに手を取られて、ついつい後回しになってしまいがちなのが、公共機関(電気・ガス・水道)への連絡です。
ですが、これを怠っていると使用の基本料金があなたへ請求されます。積もり積もった額は、大変なことになりかねません。
次にその場所を契約する人にも迷惑が掛かりますので、忘れずに連絡しておくようにしましょう。
レンタル品がある場合はそちらへも連絡を
レンタル品も、飲食店を閉店する際にリース品と同じように返却しなくてはなりません。
返却の手続きをしないでいると、不動産会社にレンタル品が捨てられてしまうことがあります。
そうすると、賠償金として高額の料金を請求される可能性も少なくありません。
ビールサーバーやおしぼりウォーマーなどの機器に加えて、忘れてしまいがちなのが、有線放送などの音響設備や玄関マットなどです。
これらの返却先は、定期的に届く請求書に記載されている連絡先です。
閉店ぎりぎりまで使うものがほとんどでしょうから、引き取りに来てもらう日は閉店後にしましょう。
仕入れ業者への連絡も必ず行って
今までお世話になってきた仕入れ業者への連絡も行いましょう。
食材やお酒の支払いの時期が、閉店時のタイミングとずれることもあります。
振り込みではなく現金支払いでないといけないこともありますから、閉店の月に知らせるのではなく、事前に連絡を入れて業者さんと相談するようにしましょう。
移転の場合は、移転先にも届けてくれるか相談するのもいいですね。
業者も、取引先を減らしたくないでしょうから、支店があればそちらから配達してくれる可能性もあります。
これまでの感謝も込めて、メールなどで挨拶するのもいいでしょう。
飲食店の閉店は挨拶も忘れずに
閉店をする場合、そのことを知らせる挨拶も大切です。閉店の挨拶で一般的なのは、店頭や店内での貼り紙です。店頭に貼り紙をしておくと、お店の前を通った人にも見られるので、多くの人に告知ができます。
「閉店前に行ってみよう」と、来店につながる可能性もあります。
貼り紙以外では、お店のホームページ・SNSで発信する方法も。Web上の告知は、閉店後も自ら消さない限り、残すことができます。店舗やスタッフとともに、閉店の挨拶を掲載しても良いでしょう。
取引先や大切なお客様には、手紙・挨拶状を送ると丁寧です。
手紙を送るのが難しい場合は、メールでの挨拶も検討してみましょう。閉店が決まってから来店されるお客様の中には、スタッフに声を掛けてくださる場合もあります。その時は、口頭でしっかり感謝の気持ちを伝えるのがマナーです。
「今まで(ご愛顧くださり)ありがとうございました」「●月●日まで営業していますので、よろしければお越しください」など、心を込めて伝えましょう。
立つ鳥後を濁さず!閉店準備は最後までしっかりやろう
いかがでしたか。閉店と一言に行っても、多くの準備と手続きが必要になってくるのです。これを、閉店間際の忙しい1か月でやるのは困難ですよね。
閉店を考えたら、3か月~半年くらい後の閉店をめどとして動き始めるのがベターです。余裕を持った手続きと準備が、閉店後の新たなスタートを成功させてくれるはずです。
立つ鳥跡を濁さずの精神で、閉店準備はしっかり行うようにしてくださいね。
飲食店の閉店をお考えのオーナー様へ
その閉店コスト、大幅に軽減できるかもしれません。
閉店する際には、様々な手続きや費用が発生します。
私ども飲食店買取りJPでは、10年以上閉店・退去のサポートもさせていただき、
多忙な飲食店経営者様・オーナー様のご負担の軽減に務めさせていただいております。
- ・解約まで時間が無いため、とにかく早く売りたい
- ・移転先の出店費用にしたいので、なるべく高く売りたい
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など、様々なご要望にお応えします。
大家さんへの交渉や閉店・売却までの流れについても完全サポートしております。
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