居抜き売却(造作譲渡)とは?
居抜き売却(造作譲渡)とは・・・飲食店舗物件の内外装部分を譲り渡すことです。 造作とは・・・物件内部の仕上げ・取付け物・床・壁・天井・家具・厨房・空調などの設備、機器一式を指します。 基本的には、建物の骨組みにあたる躯体などは建物所有者の物なので、それ以外の内外装の仕上げと設備機器が含まれます。
一昔前の飲食店舗物件はスケルトン状態から設計・施工し、閉店する際にはスケルトン状態に戻して家主さまに返却することが一般的でした。 スケルトン状態に戻す場合、一般的には坪5~10万円ほどの原状回復費用が発生すると言われております。(凝った内装の店舗の場合それ以上にかかる場合も…)。 退店オーナーさまにとっては大きな負担となります。
しかし近年ではスケルトン状態に戻すのではなく、店舗の造作を残した状態「居抜き物件」として売却・譲渡することが一般的になりました。
閉店時に膨大な費用がかかるどころか、むしろ造作を売却・譲渡することで利益を得て閉店することができるのです!!
原状回復(スケルトン戻し)は
いくらぐらいかかるの?
造作譲渡金額は
どのようにして決まるの?
飲食店の居抜き造作譲渡の
メリット・デメリットは?
居抜き売却や居抜き譲渡は
どうして嫌がられるの?
居抜き売却(造作譲渡)の前に
確認しておく2つのポイント
居抜き売却(造作譲渡)を
成功させるポイントは?
原状回復(スケルトン戻し)はいくらぐらいかかるの?
大抵の契約では物件を明け渡す際に原状回復や、スケルトン状態に戻す必要があります。その費用がどれくらいかかるかご存知でしょうか?
一般的には1坪あたり5万円~10万円かかると言われており、20坪の物件ですと最低でも100~200万円程はかかります。
大型の商業施設などは原状回復(スケルトン戻し)のルールが細かいことが多く、さらに家主さま側の業者を契約書で指定されている場合もあります。
そのような場合はビックリするぐらいの費用を要求されることもあるので注意が必要です
どうやって造作を譲渡するの?
店舗を譲渡する際には、必ず建物の家主さまの承諾が必要になります。
たまに造作譲渡を認めてくれる内容の契約も存在はしますが、9割以上は契約解約時には原状回復(スケルトン戻し)が義務付られています。
近年は居抜きでの譲渡・売却が主流になってきております。しかし依然として「居抜き物件はトラブルになりやすい」と考えている家主さまや管理会社さまも多数おられ、
やむなく原状に戻す事例も少なくありません。
居抜きでの売却・譲渡を断られるケースとしては、
「飲食店に賃借するのがイヤになったので、次のテナントは物販にしたい」
「居抜きはトラブルが多いので、とりあえずスケルトンにして欲しい」
「スケルトンからでも投資できる、しっかりとした会社を探したい」
などさまざまな理由があります。
居抜きでの売却・譲渡を認めてもらうにはとにかく慎重に話を進める必要があります。
せっかく造作を購入してくれる買取り希望者を見つけたのに、造作売却・譲渡を認めてもらえずに原状回復費用(スケルトン戻し)になってしまうケースも少なくありません。
造作譲渡金額はどのようにして決まるの?
居抜きで売却・譲渡する際、造作譲渡金額の設定は非常に重要です。
最初の金額設定を誤ってしまうと、売却・譲渡までの時間もかかりますし、最悪の場合は、解約期限が迫り原状回復(スケルトン戻し)をしなくてはならず、
撤退費用がかかるなんてことにもなりかねません。
その1
物件の立地はどうか
造作譲渡金額を決める上で最も重要な要素の一つとして、「物件の立地」があります。飲食店の運営がうまくいくかどうかは物件の立地が良いか悪いかで大きく左右されます。
同じように、居抜きで売却・譲渡する際も立地の良い物件は非常に買取り希望者が多く、例え少し内装が汚くても高額売却やスピード売却につながりやすい傾向にあります。
また、1階路面店で且つ視認性の良い看板が付けられるような物件は更に高額・スピード売却ができる可能性があります。
ご自身の物件が繁華街の一角や、商店街・商業施設内など人通りの多い立地に位置している場合は造作譲渡金額を少し高めに設定しても売却できる可能性があります。
その2
賃貸条件はどうか
毎月かかる賃料や、物件を契約する際に一番大きい金額、保証金。こちらが周辺相場より安い場合は少し高めの金額で売却・譲渡できる可能性があります。
買取り希望者にとっては、開業費用(イニシャルコスト)をいかに抑えるかだけでなく、毎月かかる賃料や管理費(共益費)などの運営費用(ランニングコスト)も可能な限り抑えたいものです。
賃貸条件が好条件の物件の場合も立地と同様、居抜きでの売却・譲渡に有利です。
その3
設備などの充実度はどうか
居抜きで飲食店の開業を考えている方は、開業費用を少しでも削減したいという方が多いです。
飲食店をすぐに始めることができる状態の居抜き物件では、厨房機器はもちろんのこと、ダクトやグリース・トラップなど、内装を造作する際に一番費用のかかる設備が備わっている物件が選ばれる傾向にあります。
ダクトでいえば、焼肉や中華、ラーメンなどの重飲食業態も問題なく建物の屋上まで延びていたり、
グリース・トラップでいえば、簡易的な置型のものでなく、しっかりと床に埋め込まれていたりすると飲食店を居抜きで売却・譲渡する際にアピールポイントになります。
飲食店の居抜き造作譲渡のメリット・デメリット
そもそも、飲食店を居抜きで造作譲渡するメリットとデメリットについても考えてみましょう。
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メリット①
原状回復(スケルトン戻し)の時間と費用がかからない
飲食店を退店する際、ほぼ必ず行わなければならないのが原状回復(スケルトン戻し)工事です。
こちらは、入居時に結ぶ賃貸借契約書上に明記されていることがほとんどです。(極稀に原状回復せずにそのまま引き渡して良いという契約書もあります。)原状回復工事には最低でも退去日の2週間以上前から着工しておく必要があります。となると工事業者にはそれ退去日の1ヶ月前くらいから見積もりを取り選定しなければなりません。
また、もちろん原状回復(スケルトン戻し)工事には費用もかかります。相場と言われているのが、軽飲食で約坪5万円、重飲食で約坪10万円、ダクトや、グリース・トラップがついているか、形状はどうか、客席が個室なのかなどによっても金額は変わってきます。15坪の店舗で計算してみると・・・
【軽飲食】15坪×5万円=75万円
【重飲食】15坪×10万円=150万円 退店するにも多額の費用がかかることがわかります。これを居抜き物件として売却・譲渡することで、時間も費用も節約することができるのです。
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メリット②
解約までの家賃負担を抑えることができる
飲食店の撤退を考えている方の6割以上が赤字による撤退。毎月の家賃を払うのも厳しい状況という方もおられると思います。
居抜き物件として売却・譲渡する場合、交渉次第では解約日まで営業を続けなくても良い場合があります。
例えば、次の入居者(造作の買取り希望者)候補がすでにいて、大家さんや管理会社にとって空家賃が発生する場合が極めて低い場合。
こういったケースですと、80%以上の大家さん・管理会社は退去日の前倒しを承諾してくれます。 -
デメリット①
大家さん・管理会社に居抜き承諾が取れない場合がある
居抜き物件の売却や造作譲渡は一般的になりつつありますがまだまだ大家さんや・管理会社に認めてもらえないケースもあります。
(詳細に関しては「居抜き売却や居抜き譲渡はどうして嫌がられるの?」を御覧ください。)
特に大家さんや管理会社との関係性があまり良くないと承諾を得られない場合があります。 -
デメリット②
造作物の所有者がわからない場合がある
居抜き売却で一番問題になるのが、所有権の有無です。基本的には躯体以外の内外装は退店オーナーさま側にある場合のほうが多いですが、例えばエアコンなどが大家さんの所有担っていたりするケースがあります。
その場合、エアコン以外の一式は売却することができますが、エアコンの所有権はないため売却することはできません。
このように所有権の範囲がわかっている場合は良いのですが、そもそも入居時に所有権の所在を確認していなかったことで、自分で造作したものまで大家さんや管理会社が所有権を主張してきて売却できないようなケースも極稀にあります。